■CB2人がゴールマウスを守る奇妙な場面

 このゴールの場面では、抜け出したプリシッチに対してレアルの最終ラインが誰も寄せに行かず、仕方なくティボー・クルトワが遅れて詰めていくしかなかった。クルトワは冷静にかわされ、なぜかその状況でセンターバックが2人もゴールマウスをカバーしていることを嘲笑うかのようにゴールが奪われた。

 なぜこのような奇妙な光景が生まれたのか。

 3人目のセンターバック、エデル・ミリトンは、リュディガーがパスコースを探そうとすると中盤のメイソン・マウントに対して寄っていった。マウントは本来であればモドリッチと相対するポジションの選手だが、先述のようにモドリッチは他の役割を担わされていたために、チェルシーの中盤の選手が1人余ることになる、この場面ではそれがミリトンの視線上にいるマウントだった。

 3バックの中で1人余っているはずのミリトンはその対応にあたろうとしたため、他の2人のようにボールを追えなかった。ミリトンは当然の動きをしただけだ。

 ラファエル・ヴァランはナチョに対して、プリシッチに行け、と合図を送ったが、既にナチョは全力で戻ってクルトワの後ろまで走り込んだ後だった。

 しかし、ヴァランは自身が行くわけにもいかなかった。ロングボールが蹴られてからプリシッチがペナルティエリア内でそれに触れるまで、マルセロが棒立ちでその様子を眺めているだけで、戻ってこなかったからだ。ヴァランはティモ・ヴェルナーがそのスペースに流れていくことをケアしなければならなかった。

 こうして、2人のセンターバックがゴールを守る状況が生まれた。

 モドリッチをチェルシーの最終ラインの対応にあたらせたことだけでなく、慣れない組み合わせによる守備意識のズレがそこに重なった。

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