【CL分析】「史上稀に見る大混乱」レアル・マドリード対チェルシー「奇妙すぎる失点」の理由の画像
ベンゼマの同点ゴールで救われたレアル・マドリード 写真:ロイター/アフロ

UEFAチャンピオンズリーグ 準決勝 1stレグ レアル・マドリードvsチェルシー 2021年4月27日(日本時間28:00キックオフ)】

 この日のレアルはおかしかった。離脱者が相変わらず多いとはいえ、そのピークだったヘタフェ戦をたった1人で試合をとして成立させていたルカ・モドリッチの存在感が消えた。トニ・クロースの機械のようなプレー精度は狂いを見せ、カゼミーロもミスを繰り返した。

 原因はレアル自身にあった。

 3バックを採用するチェルシーと同様に3バックで戦うことを選んだジネディーヌ・ジダン監督だったが、ミラーゲームで個の強さを競うわけではなく、モドリッチを最終ラインへのプレス要員にしてチェルシーのビルドアップに対抗しようとした。

 しかし、ルーカス・バスケスやフェデリコ・バルベルデが不在の中で強行した3バックシステムは、モドリッチと連動してチーム全体で動くことがなかった。

 モドリッチがセンターバックのアントニオ・リュディガーのところまでプレスをかけるためにいなくなると、カゼミーロはそのせいで空いたスペースのことも気にしなければならない。そこでチェルシーは、ジョルジーニョがそれを逆手に取ってカゼミーロを誘い出し、そのスペースをエンゴロ・カンテが突くことで簡単に前に進むことを可能とした。

 中央でチェルシーが優位に立ったことで、3バックと2トップの関係で1人余っているはずのレアルは、高いラインを設定しながらも積極的に出る守備をすることができなくなってしまった。急造感を強く感じさせる、誰が行くのかが決められない様子見の守備は、ますますチェルシーを自由にさせた。

 14分、リュディガーがボールを持つと、レアルは全体が止まって様子を見てしまった。ボールは一気に最終ラインの裏に送られ、クリスチャン・プリシッチが悠々とゴールを奪った。

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