■鎌田の評価を高めたヴォルフスブルク戦での活躍

 鎌田が素晴らしいパフォーマンスで一気に評価を上げたのは、4月10日に行われた第28節のヴォルフスブルク戦だった。フランクフルトが4対3と激しい撃ち合いを制したこの試合、鎌田は1ゴール、1アシストという結果を残したのだ。

 前半6分にはボテ・リドル・バクのコースを狙った素晴らしいシュートでアウェーのヴォルフスブルクがリードしたのだが、そのわずか2分後に鎌田は同点ゴールを決めた。先制を許した直後の貴重な同点弾だった。

 右サイドからドゥルムが入れたグラウンダーのクロスをセバスティアン・ローデがスルーすると、待ち構えていた鎌田が右足でとらえて正確にゴールの中に流し込んだのだ。右サイドにボールが出た瞬間にフランクフルトの前線の選手が一斉にゴール前に飛び込んでいったのだが、鎌田はそれから一呼吸遅れて、約10メートルほど離れてペナルティーエリアに進入したため完全にフリーな状態になっていたのだ。そして、ローデも鎌田の位置をしっかり確認してスルーした。

 その後、ルカ・ヨヴィッチが強烈なシュートを叩き込んでフランクフルトは前半を2対1とリードして折り返したのだが、後半開始直後にはDFのミスを拾われてたちまち2対2とされてしまった。

 だが、54分に再び勝ち越しとなるチームの3点目をお膳立てしたのが鎌田だった。

 相手陣内深いところで、ヴォルフスブルクのヨシプ・ブレカロがボールをコントロールしようとした瞬間に鎌田が体をねじ込むようにして奪い取り、そのままゴールに向かってドリブルで運び、ヴォルフスブルクのDFをしっかりと引き付けてから、右を並走するアンドレ・シウヴァにパスを送ったのだった。

 前半のゴールは、スペースを見つけて最善のタイミングで入り込むうまさが勝負だった。そして、後半のアシストの場面では相手に体を寄せていくタイミングが効果的だった。こうした、スペースと時間をうまく利用するのが、最近の鎌田の特徴となっている。

 レヴァークーゼン戦での33分のプレーにしても、長谷部がボールを持ちあがり、パスを出そうというタイミングを見てスペースに入り込み、そしてパスを受ける瞬間に体を開いてボールの勢いを殺すことなくドリブルに移って、しかも前線での味方の動きも視野に入れてプレーしている。

※第2回につづく

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