■長谷部誠と鎌田大地は見事な仕事で好調を維持
そんな最後の苦しい戦いを続けるフランクフルトの試合の中で、このところ素晴らしいパフォーマンスを続けているのが日本代表の鎌田大地である。
第31節のレヴァークーゼン戦ではけっして結果が出せたわけではなかった。
キックオフ直後からホームのレヴァークーゼンに猛然とプレスをかけられ、フランクフルトは自陣内でボールを奪われて再三ピンチを招いてしまった。それでも、GKのケヴィン・トラップがビッグセーブを連発してくれたおかげで、フランクフルトは無失点のまま後半に突入したのだが、70分、ついに右からの長いクロスをレオン・ベイリーに決められて失点すると、80分にも交代で出場したばかりのルーカス・アラリオに追加点を奪われて手痛い敗戦となってしまった(その後、両チーム1点ずつを取り合ってスコアは3対1)。
前半から押し込まれる展開が続いたフランクフルトの中で、なんとか守備を立て直したのは5試合ぶりにボランチとして先発出場した長谷部誠だった。時には最終ラインに戻って、ボールを落ち着かせ、時には中盤で相手の攻めを遅らせたり、またパスをカットしたりと縦横無尽の活躍はいつもの通り。そして、チャンスの芽を見つけては自らボールを運ぶ長谷部の獅子奮迅の活躍がフランクフルトを支えた。
そんな中で、いくつかのチャンスを演出したのが鎌田だった。
6分には左サイドからつながったボールが鎌田の足元に入ると、鎌田は角度を変えて右サイドに深みのあるボールを送り、追い付いたエリック・ドゥルムが折り返したところにアンドレ・シウヴァが飛び込んだ。シュートはわずかに右に外れたものの、これがフランクフルトの最初のビッグチャンスだった。
もう一つのフランクフルトのチャンスも鎌田のスルーパスから生まれた。33分、長谷部がドリブルで運んだボールを、鎌田が相手DFラインの前のスペースに入り込んで受ける。そして、半身に開いてボールの勢いを殺さないようにうまくコントロールすることで攻めの速さを加えて右サイドに流し込んだパスをフィリップ・コスティッチがシュートしたが、GKにセーブされてフランクフルト・ボールのCKとなった。
つまり、鎌田のパスセンスによって劣勢の中でもチャンスは作れていたのだった。