■「クライフ信者として、その哲学を発展させたい」
昨季、バルセロナはチャンピオンズリーグ準々決勝でバイエルン・ミュンヘンに2-8と敗れた。歴史に汚点として残るような衝撃的な敗戦だった。ただ、その事実に覆い隠されたデータがある。その試合のバルセロナのスタメンの平均年齢は29歳329日だったのだ。
そして、対峙したバイエルンの中心にはチアゴ・アルカンタラがいた。ラ・マシア(バルセロナの育成寮)で育ったチアゴだが、2013年夏にバイエルンに移籍。グアルディオラ監督に、バルセロナで出場機会を確保できていなかったチアゴを引き抜かれた。それは何とも言えない皮肉だった。
「クライフ信者として、その哲学を発展させたい。ライカールトやグアルディオラが、そうしたように」
これはラポルタ会長の言葉だ。ヨハン・クライフを崇拝していたラポルタ会長にとって、ラ・マシアとカンテラを重視することは成功に直結する。しかし一方で、「私は自分がどこにいるか分かっている。何かを勝ち取らなければいけない」とクーマン監督は語る。
タイトルと育成の両立がなければ、現在のバルセロナで指揮を執り続けるのは困難なのである。