■ハーランドと相反する過去

 シティでは、今季終了時にセルヒオ・アグエロが退団する。契約満了を迎えての移籍という運びであるが、グアルディオラ監督はシティでベルナルド・シウバ、フィル・フォーデン、フェラン・トーレス、ケヴィン・デ・ブライネといった選手たちをファルソ・ヌエベで起用してきた。

 そのファルソ・ヌエベの発明の契機になったのは、2008-09シーズン後半戦のレアル・マドリー対バルセロナの一戦だ。

「ペップに『レアル・マドリーの試合をたくさん見て(アシスタントコーチのティト・)ビラノバと話した。君をCFの位置に置く』と言われたんだ。エトーと(ティエリ・)アンリが中央に走り込んできて、僕は中盤の選手とコンビネーションする形になった。マドリーの選手たちが僕のマークに付いて来たら、ウィングの選手がスペースに走る。それは僕たちにとってもマドリーの選手たちにとってもサプライズだった」とはメッシの弁だ。

「僕はセンターフォワードでプレーしたことがなかった。でも、(ポジションの変更で)サイドでパスを待っているのではなく、中盤に下がってボールを受けるようになった。それまではウィングでのプレーが多かったけれど、新しいポジションでどのようにプレーすればいいかは分かっていたので、大きな変化ではなかった」

 ファルソ・ヌエベは、画期的な発明だった。その一方で、グアルディオラ監督の率いるチームにおいてはCFの選手の障害にもなってきた。

 ハーランドのようなトップクラスのCFが加入すれば、自ずと彼を中心に攻撃を組み立てなければならなくなる。グアルディオラの過去はハーランドの将来的な活躍と相反するようにみえる。それでも、シティがハーランド獲得に動く可能性はあるのかーー。チャンピオンズリーグの舞台からは姿を消したが、これからもまったくハーランドからは目が離せない。

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