■同点ゴールを決めたのは17歳

 だが後半、ドルトムントが流れを変えた。若き才能が、次々とシュツットガルトの実直さに「ズレ」を生じさせたのだ。

 後半開始2分後のゴールは、アーリング・ハーランドへのくさびのパスから始まった。ハーフウェイライン付近まで下がったハーランドは相手CBを引き連れ、守備の混乱を誘ったのだ。ボックス内で縦パスをうまく落としたジョバンニ・レイナは18歳。パスを入れたマフムド・ダウドに寄せざるを得なかった遠藤の裏に入り込んだジュード・ベリンガムは17歳。ベリンガムのブンデスリーガ初ゴールで、試合は振り出しに戻った。

 レイナは、その5分後にも魅せた。リスタートからのボールをタッチライン際で受けると、素早く詰め寄ってきたDFを鋭い反転と一気の加速で置き去りにしたのだ。1人はがされたことで、またも遠藤は引っ張り出される格好となる。その中央のスペースに入り込んだのは右サイドバックのマテウ・モリー。その瞬間、ボックス内にはドルトムントの選手が3人入って、DFをピン止めしていた。さらに、モリーが出したパスの先で、ハーランドはDFを背負いながらボールをスルー。サイドから走り込んできたマルコ・ロイスは、冷静に1タッチで逆サイドへと逆転ゴールを流し込んだ。

 1点を追うシュツットガルトは、4-4-2へとフォーメーションを変更して逆襲に出る。左サイドハーフに入った遠藤が、前へ出る力を披露する場面も増えた。78分には、またもシュツットガルトらしさが出る。相手の不用意なバックパスをカットすると、一気に5人でカウンター。最後はDFを引きつけた遠藤がつくったスペースから、ダニエル・ダビディが同点ゴールを流し込んだ。

 だが、輝きで勝ったのは、またもドルトムントの10代だった。同点で迎えた残り10分。交代出場していた19歳が違いを生んだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4