【ブンデス分析】遠藤航らの実直さに「ズレ」を生む若き才能「ドルトムントがシュツットガルトを逆転した理由」の画像
遠藤が引きずり出されたスペースから、ベリンガムがゴールを決めた 写真:ロイター/アフロ

ブンデスリーガ シュツットガルトvsボルシア・ドルトムント 2021年4月10日(日本時間25:30キックオフ)】

 シュツットガルトは、無骨だが実直である。華麗な技術を披露する選手はいないが、全員が労をいとわずプレーする。湘南ベルマーレでプレースタイルを培った遠藤航が重宝される理由も、よく分かる。3-4-2-1のフォーメーションを敷いてしっかりと相手選手を捕まえ、その守備意識は前から相手をはめ込む際にも活きてくる。そういう意味で、先制点の場面は、シュツットガルトらしいと言えた。

 開始17分のシーンだ。前から一人ひとりが相手に寄せて、ドルトムントを押し込めにかかる。タッチライン際で奪ったのはサシャ・カライジッチだったが、この1トップはパスを逆サイドへと展開するとボックス内へと駆け出した。

 ボックス左からクロスを入れたのは、ほぼ左足しか使わないボルナ・ソサ。生粋のレフティが選んぶクロスは、もちろん決まっていた。大きな弧を描く高いボールだ。身長2メートルのカライジッチはファーサイドで相手DFよりも「頭2つ」高く跳び、さらにGKの頭上を抜く浮いたヘディングで、ゴールネットを揺らした。

 ドルトムントのほうがボールを持つ時間は長かったが、それもまたシュツットガルトの思惑どおりだっただろう。自分たちがボールを動かすよりも、攻めに出たドルトムントの裏を突いたほうが効果的だからだ。シュツットガルトがペースを握った前半と言えた。

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