■ベンフィカ、スポルティングと戦える環境

――少し話を戻すと、ポルトガルのクラブの社長を目指したのはオリンピック世代の日本人選手のヨーロッパの拠点になるような存在になりたかったからですよね?

「そうです。実際に、Jリーグのクラブからも僕らがレンタル料を払う必要のない形でもよいから、レンタル移籍で若い選手たちを送りたいという話はけっこうもらっています。もちろん、それもありがたいですが、ポルトガルの2部といえどもトップチームですぐに活躍できるクラスの選手が日本多くいるわけでもないし、トップチームの場合は地域のために勝利を目指さないといけないし……。そこで考えているのが、オリヴェイレンセのU-23チームの創設ですね」

――ドイツなどではU-23チームを廃止するチームと、継続させて強化させていくチームとに分かれつつあることが話題になっていますが、ポルトガルの場合は?

「FCポルトはUー23を持っていませんが、ベンフィカ(・リスボン)やスポルティング(・リスボン)はUー23チームを持っています。我々はUー23のチームをまだ持っていないのですが、それが作れれば、この年代のトップクラスの選手たちと日常に戦う環境を手にすることになります。トップチームとは異なり、勝利ではなく、育成にこだわったり、選手たちがマーケットに実力を披露する場所なので」

――これからU―23を作る予定ですか?

「計画はあります。逆に、Jリーグのクラブなどとアライアンスを組めるような形にしてしきたいんですよね。これから日本でもUー21のリーグが作られようとはしていますが、Jクラブと提携して、安定的に若い選手をヨーロッパに送り込めるような仕組みができたらと。

 たとえば、日本にあるAというクラブとBというクラブで、どちらに入るか迷う選手がいるとします。Aというクラブの成績や設備がよければ、現状では多くの選手がAに入ります。ただ、Bというクラブが海外のクラブと強固なパイプをもっていれば……海外志向の強い選手などは『Bに入ろう』となりますよね。規模が小さいJクラブでも、そういう面で僕らを上手く利用してもらいたいです」

練習場でチームについて話し合う山形氏(提供写真)
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