3月30日のW杯2次予選、日本代表対モンゴル戦は14対0という華々しいフィナーレとなった。その前日の3月29日には、U24日本代表がアルゼンチンを相手に3対0という完勝劇で、26日の0対1という敗戦のリベンジを果たした。3月の代表ウィークでのフル代表2試合、五輪代表2試合の計4試合は日本に何をもたらしたのかーー。サッカージャーナリストの大住良之と後藤健生ががっぷり四つに語り合う!
―あらためて、フル代表の30日の試合、モンゴル戦はどうでしたか?
大住「30日の試合で一番良かったのは、最後まで緩まなかった。90分間、本当に良いリズムで、良いテンポで、良い強さで。最後にたくさん点がどどっと入ったのは、相手が諦めたわけではなくて、もう疲れたんだよね。しょうがない。あれだけ点を取られたら、走り回って疲れちゃうもの。そこを逃さずロスタイムに入ってからも3得点だからね。
僕が30日の試合を見ていて、一番印象的だったのは1点目。南野拓実が取ったやつ。あの時に、鎌田大地が真ん中でボールを受けてターンをして、ククッと2、3人をかわしたんだよね。あれが効いたんじゃないかと思う。あの後、外に出して小川諒也のクロスがはね返されて、また拾ってクロスを入れて、今度は右へ流れたところを、右から松原健が冷静に中央に送って、南野が受けて、ゴールを決めたんだけど、その前に、鎌田が真ん中で受けてターンをして2人、3人と抜いたのが、ものすごく効いた。
あれで、クロスをみんな跳ね返して奮闘していたモンゴルのディフェンスが、ついていけなくなったね」
後藤「右から左、左から右ってね。森保一監督の指示の声じゃないけど、幅を使って。それは相手が守りを固めた時には当然のことなんだけど、それを丹念にやり続けた」
大住「かなり幅を意識していた。たとえばディフェンスラインから伊東へのパスとか。かなり狙っていたんだけど、その幅を使う中で、鎌田が中央で冨安から縦パスを受けたんだよね。ターンしている間に1人をかわして、そして残りの2人もクッとかわして、そして左へ出したんだけど。幅を使う、幅を使うっていう中で、そういったプレーが入ったのがすごい大きかった」
後藤「あれだけ左右に振ったら、相手は振り回されちゃうよね」
大住「モンゴルはかなりノーマルに試合を挑んできて、ボールを持ったら果敢に攻めて、前のほうでボールを取ろうとしていたんだけど。やっぱり、あれだけ押し込んだらスペースがなくなって難しい試合になる。しかし、30日は鎌田がすごく効いたような気がするな、あらゆるところで」
―アクセントというか、試合のリズムですか?
大住「あの人は不思議な感じだよね、ふわっとしていて。みんなが頑張る中で、ふわっとやっているんだよね。もちろん頑張るんだけど。それがすごく効いているような気がする。その1点目が大きかったんじゃないかな」