夜のフクダ電子アリーナはひっそりとしていた。
カタール・ワールドカップ・アジア地区2次予選、モンゴルvs日本。「アウェイ扱い」の無観客試合。
新型コロナウィルスでモンゴルでの開催が困難なため、モンゴルが日本での開催を選択してホームとアウェイが逆転する異例の形となった。
試合開始5分前、わずかに外から中の様子を見ることができたピッチへのフォトグラファーの入口として使用されていたスペースのシャッターは固く閉ざされた。
メインスタンドから見て、左側にホームのモンゴルが青いユニフォームを着て並び、右側にはアウェイの日本が白いユニフォームを着て並んで、それぞれの国歌を聞いた。
「ああ、アウェイの試合なんだ」と改めて感じた。
日本がワールドカップ予選で初めて無観客試合を経験したのは2005年6月だった。北朝鮮は平壌でのファンの暴挙でFIFAからホーム開催を没収されて中立地でのペナルティ試合を課され、日本との試合はタイのバンコクで行われた。0-2だった。あの試合は昼間で太陽の光が白いスタンドに反射してまぶしかった。中に入れない日本のサポーターがスタジアムの外から「ニッポン」と声を張り上げていたのを覚えている。