■山根はハーフスペースを使える
2018年のロシアW杯後に就任した森保監督は、22年のカタールW杯へ向けたテーマのひとつに世代交代をあげた。就任から2年以上が経過し、通算32試合目となったこの日のスタメンで、ロシアW杯のレギュラーは吉田麻也と大迫勇也だけである。ロシアW杯後のタレントが多くのポジションで台頭しているが、サイドバックだけは18年当時と序列が変わっていない。
右サイドバックは酒井宏樹、左サイドバックは長友佑都が最上位だ。それが悪いわけではないものの、酒井は4月に31歳に、長友は9月に35歳になる。彼らを起用できない際の人材は、確保しておかなければならない。
酒井と長友を招集できなかった今回の韓国戦で、右サイドバックを務めたのは山根視来だった。
昨年のJ1リーグでベストイレブンに選出された川崎フロンターレ所属の27歳は、初めての代表招集でいきなりスタメンに抜擢された。緊張感に身体が縛られてもおかしくないが、川崎Fと同じ背番号13を着けて普段着のプレーを見せる。
山根の強みはタッチライン際の右サイドレーンだけでなく、ハーフスペースを使えることだ。タテへの突破に長ける伊東純也が同サイドにいることもあって、攻撃の際のレーンの使い分けがスムーズに進んだ。
17分の先制ゴールも、ペナルティエリア内から決めた。相手DFラインの間で守田からタテパスを要求し、一度はカットされたボールを大迫がヒールで落とすと、オフサイドラインぎりぎりで反応して右足で蹴り込んだのだった。