■「70年代は過激だったけど、80年代は洗礼はなくなっていたよ」

―97年以前には明らかに日本を敵視するような、アウェイの洗礼を感じたことは?

後藤「あんまりないね。たしかぼくが最初にアウェイに行ったのが、82年3月の日韓戦。3対0で韓国が楽勝で勝っちゃったこともあったんだけど、全然そういうのはなかった。期待して見に行ったのに、拍子抜けだったね」

大住「70年代、サッカーマガジンにいた頃に今井恭司さんというカメラマンがいて、彼に一人で韓国へ取材に行ってもらったことがあったんだけど。その頃はひどかったみたいだね。要するにいろんな物が飛んで来るんだって。ガラスが飛んできたりして、カメラマンもヘルメットがないと危なかったみたい。戦後がまだ抜けてなかった時代だね」

後藤「70年代はワールドカップ予選とかオリンピック予選をソウルでしょっちゅうやっていて、テレビで見ていたけど、本当にそういう雰囲気が伝わってきた。それを味わいたくて韓国に行ったんだけど、80年代は全然そういうのがなかった。

 ぼくが味わったのは香港でかな。乾電池とか水の入ったペットボトルとかいろんな物が飛んできた」

大住「後藤さんは日の丸を振っていたから投げられちゃうんだよ」

後藤「そうそう、だから当たり前なんだけどさ。だけどソウルじゃあそういうのは体験できなかったね」

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