■「アウェイの嫌がらせはあったけど、あっさり勝っちゃったよね」

―そんな雰囲気だったんですね。それは現地にいないと分からない。

大住「たしか、あれが2か月ぶりの勝利でしょ? 初戦でウズベキスタンに6対3で勝ってから、分け、負け、分け、分け、分け、だからね。勝ちがなかったんだよ。だからあの11月1日が、ほぼ2か月ぶりの勝利だったんだよ。

 しかも翌日の晩にUAEが引き分けて、それで日本は順位が入れ替わっちゃったからね。2位になったから。だから残りのカザフスタン戦なんてイケイケだったよね」

後藤「あの時はUAEの試合が、日本の中継がディレイ放送だったから、試合中に現地の知り合いの携帯に電話して、どうなってるかずっと途中経過を聞いてたよ」

大住「ぼくは翌日ソウルから帰れなかった知り合いから電話がかかってきてさ。ソウルでは生中継でやってたんだよね。夜中の12時過ぎに引き分けだっていう知らせが来て、どうしようかなって別の日本の知り合いに電話したら、これからテレビで試合を見るとこだったのにって怒られちゃった」

―97年のこの試合が、ジョホールバルの歓喜につながって、日本が初めてのワールドカップ出場を決めたわけですが。

後藤「だけど、日韓戦の思い出としては大したことは無いね」 

大住「試合としてはね。だけど、意味としてはとても大きかったね。もちろん単独の試合と考えるなら日本代表は素晴らしかったよ。ただそれまでの日韓戦の韓国というチームを考えると、これが韓国なの、って感じだった」

後藤「赤いシャツは着てるんだけどな……って感じ」

大住「あと、前日の練習の雰囲気が全然良くなかったんだよね。

 日本の練習の時に、警備のリハーサルなのか、ソウルの警官隊が一緒に入ってきたんだよ。ピッチでボールを蹴っている時に、何百人もの警官がダダダダって走ってきて。それで選手の声が聞こえなくなっちゃうし。

 アウェイでやられてるな、って感じがした。完璧に嫌がらせだと思ったよ。正直言ってそんな簡単には勝てないと思ってたけど、蓋を開けてみたら韓国にあっさり勝っちゃったよね」

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