■経験差が明暗を分けた
互いに様子を見ながらおとなしい45分を終えると、ユナイテッドが動いた。後半開始からマーカス・ラッシュフォードに代えてポール・ポグバを投入。堅い中央ではなく右サイドに収まりどころを作ろうとした。
すると48分、ゴール前の密集からそのポグバが待望のゴールを奪うことに成功した。
リードを得て、しかも1点を失ったとしても敗退しないユナイテッドは、ブルーノ・フェルナンデスがチャルハノールと同じようにボールを受けられる位置を取り続け、ルーク・ショーとダニエル・ジェームズが全体を押し上げつつ各自が積極的にボールを運ぼうとした。これによってミランは前に出ることが難しくなり、さらにファウルを犯して試合の流れを止めて時間を浪費してしまった。
68分にズラタン・イブラヒモヴィッチがついに登場しても、ハリー・マグワイアとヴィクトル・リンデロフが空中戦で互角に戦い、最後までゴールを許さなかった。
明暗を分けたのは、監督も含めて大舞台を経験した数の差だった。
ユナイテッドは決して焦らず、ミランは素直に戦いすぎた。
ユナイテッドは様子見で終わった前半とは一転、リードを得てからは主導権を握り続けるためのハードワークを披露した。その変貌ぶりは勝負どころ、そして勝ち方を心得ているかのようだった。