ジェームズ・キャグニー主演の「民衆の敵」という超有名なアメリカ映画があった。1931年製作で原題は「The Public Enemy」。今回は「女子サッカーの敵」と断罪されたある男の告白だ。キャグニー扮するギャングは最後に銃殺されたが、果たして、男の汚名は返上となったのか――。
■日本代表選手からの断罪
私はかつて「女子サッカーの敵」とののしられた。
たしか1981年ごろのことだった。『サッカー・マガジン』編集部のチームと、フリーランスのカメラマンチームが試合をすることになった。当時5人ほどしかいなかった編集部では足りないから、元編集長や社内の他の編集部員、さらには友人まで引っぱってきて、なんとか11人を集めた。ユニホームは高校サッカーのTシャツ。それに背番号をつけて用意した。
試合前日、カメラマンの今井恭司さんがカメラマンチームに女子選手をひとり入れるけどいいかなと電話してきた。女性カメラマンというわけではない。しかしただの女子選手でもなかった。日本代表経験のある選手である。
「う~ん。できればやめてほしい」。私はそう答えた。「女性とサッカーをするのはいやなんだ」
結局、その女子選手は試合に訪れ、最初は主審をしてくれていたが、その後で少しプレーした。
だが試合後、その選手は私と口をきいてくれなかった。後日、「大住さんは女子サッカーの敵」と言われた。