■トルエーラ柏の強力なバックアップ体制

 トルエーラ柏が「名古屋に匹敵する」と言われるだけの資金力を持っているのは、2020年に栃木シティフットボールクラブの傘下に入ったからだ。栃木シティの大栗崇司代表がトルエーラ柏の代表理事に就任し、栃木シティからトルエーラ柏に漆原玲、ボラ、ダニエル・サカイといった有力選手が移籍している。

 栃木シティフットボールクラブは、サッカー・チームとフットサル・チームを持ち、サッカーのトップチームはかつてJFLで戦っていた栃木ウーヴァの後継チームであり、現在関東リーグ1部に所属している(2020年同リーグ優勝)。昨年の地域サッカー・チャンピオンズリーグでは惜しくも3位となってJFL再昇格を逃したが、Jリーグ経験者を多数集めてJFL昇格、そして将来のJリーグ入りを目指している。

 そして、代表の大栗崇司氏は日本理化工業所の代表取締役社長で、その資金力を使ってJ3基準に合致する5000人収容のスタジアムまで建設してしまったのだ。

 一方、栃木シティのフットサル・チームも現在関東リーグに所属して、Fリーグ入りを目指しているが、参入までの道は遠く、そのため、すでにF2に加盟しているトルエーラ柏を買収することによって参入の道を狙っていると言われている。

 他のクラブを買収することによって上のカテゴリーのリーグに参入する、いわば「パリ・サンジェルマン方式」とでも言うべき手法であり、あまり好ましいことではないかもしれないが、それにしても資金力のあるチームが加わって、名古屋の独占状態を終わらせることができるのなら、Fリーグにとって悪い話ではなかったはずだ。

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