■3月13日/J1第4節 ヴィッセル神戸―名古屋グランパス(ノエスタ)
2007年に残したクラブ記録に並んだ。名古屋グランパスが開幕4連勝。しかも、早くも今季3度目となる「ウノ・ゼロ(1-0)」と、らしさを前面に出して勝ち点3をもぎ取った。
この試合で、両チーム通じて最も走行距離が長かったのが、名古屋の中盤の底で働き続ける稲垣祥だった。ただひとり12キロを超える距離を走破している。
その男が前に出た。14分の場面だ。神戸GK前川黛也がエリア前にいる山口蛍にパスを出した瞬間、猛ダッシュ。見事にパスをかっさらってゴールに迫ったが、GKをかわしてシュートを決めるまでには至らなかった。
その5分後に、またも稲垣はチャンスを得る。ゴール付近でボールを奪った神戸MF増山朝陽に、プレゼントのようなミスパスをもらったのだ。2度目のチャンスを逃さないのが、プロの世界で生き残る資格である。少し持ちだして右足を振るうと、ポストをかすめながらゴール左上へ豪快なゴールが決まった。攻守に労を惜しまない男へのボーナスのような先制点だった。