神戸は初瀬亮を左サイドバックに送り込み、酒井を右に回して状況の変化を試みたが、同時に投入された古橋亨梧のスピードを活かすには至らなかった。89分に交代で退いたマテウスは、勝利を告げる笛の音を、心地よい疲労とともに聞いたことだろう。

 今季ここまでのウノ・ゼロでは、後半半ば以降に先制点を奪っている。つまり今回は先制してからの時間が今季最も長く、1点差という不安定な状況に疲労が重なり、時間が経つほど試合のコントロールが難しくなっていった。マッシモ・フィッカデンティ監督は、後半は前半ほどの出来ではなかったと認めたものの、最後までらしく戦い抜いたゲームに、「チャンスはつくられていないので、しっかりゲームをコントロールできた」と話したのだ。そこには守備に汗するアタッカーへの賛辞も込められていたことだろう。

 カルチョの国の指揮官は、勝ち方を教えるためにやって来た。名古屋には、勝利のために身を粉にして働く選手もいる。開幕5連勝という新記録樹立も、今ならばそれほど難しいことではないように思える。

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