■最後の最後に決壊したドルトムント

 また、2点目を奪って以降、プレスがかからなくなってしまったことも大きい。割り切って引くならばボールを持たれた時点で5バックに変化するだけでなく、アタッキングサードでボールを持ったコマンとサネには2人がかりで対応するべきだったが、綺麗に決まりすぎた自分たちの2点目がそれを難しくさせた。

 ドルトムントはハーフタイムにその部分を修正し、後半は5バックで守っている意味がある守備を見せたが、最後の最後に決壊してしまった。バイエルンのプレスを上回れずに、60分過ぎからは一方的に耐える展開になってしまい、88分にとうとうレオン・ゴレツカにゴールネットを揺らされると、立て続けにロベルト・レバンドフスキのハットトリックとなるゴールを許した。

 ここで4点目を奪うのがバイエルンの強さだ。相手の気持ちが切れたところを絶対に見逃さず、手を緩めない。プレスを緩め、中途半端になってしまったドルトムントとの差はここにもある。

 個の力でも、勝つことに対する気持ちの徹底でもバイエルンが上回っており、ドルトムントが勝つには戦術で勝負するしかなかった。そういう状況で戦術的に徹底できなかったことは勝利に値しなかった。

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