今季、アトレティコは攻撃陣が躍動している。
大きかったのはルイス・スアレスの加入だ。この夏、バルセロナで構想外となったスアレスだが、得点力は健在だった。リーガ第25節終了時点で16得点をマークしており、非常に調子が良い。
「バルセロナは僕を戦力外にした。僕が一番嫌だったのは、年齢を重ねたからもうトップレベルではプレーできないと言われたことだ。そこからが契約の問題だった。クラブが僕を売りたいのか、全うすべき契約があるのか...。だけど、如何なる場合でも、もう僕のことは必要ないと伝えられた」とはスアレスの弁だ。
「3シーズンから4シーズンにわたり、僕がバルセロナで結果を出せていなかったのなら、理解できるよ。でも、僕は毎シーズン、20ゴール以上決めていた。メッシに次ぐ数字を記録していた。バルセロナの6年間では、期待に応えていたはずだ」
なお、スアレスの言葉通り、バルセロナは無料(タダ)同然で彼をアトレティコに“プレゼント”している。移籍金固定額ゼロ+ボーナス600万ユーロ(約8億円)の契約でアトレティコに移籍した選手がリオネル・メッシと得点ランクで1位を争っているのである。
一方、シメオネ監督はスアレスについて「このチームでプレーしてきたFWの選手には、チームが機能するために労働と貢献を要求してきた。前からプレスを掛けるのか、ブロックを組んで守るのか、そのオーガナイズを整えるためにトップの選手が重要なんだ」と語っている。
「ルイスはゴールを決めてくれるが、それ以上に非常に賢い選手だ。どこに立ち位置を取るべきかを心得ている。ルイスの存在により、攻撃の時に対戦相手に迷いが生じるし、守備の時に我々は激しいプレスを掛けることができる」
何より、スアレスは“理不尽な決定力”を備える選手である。攻撃でデザイン性を欠いていても、彼がその決定力で得点を挙げて試合を決めてしまうのだ。
また、スアレスは得点力だけではなく、攻撃面で相手のセンターバックを釣り出してバイタルエリアとフロントスペースを空けてくれる選手でもある。それによりマルコス・ジョレンテ、ジョアン・フェリックス、アンヘル・コレアといった選手にスペースが与えられる。ゆえに今季ジョレンテやフェリックスの得点数は増加している。