■アタランタの守備を利用した戦術

 レアルはセンターフォワードを置かずにイスコを使った0トップを採用していた。カリム・ベンゼマが負傷離脱中ということもあるが、その起用方法こそアタランタの守備を破綻させるための作戦のキーポイントだった。

 アタランタの守備は3バックで、しかもオールコートでのマンツーマンだ。レアルはそのことを利用して偽9番のイスコがセンターバックを引き出し、中央にぽっかりと空いたスペースをフェルラン・メンディやヴィニシウスがスピードを活かして突く、という青写真だった。

 フロイラーの退場は、イスコが3バックの中央のベラト・ジムシティを連れながら落ちて左サイドのヴィニシウスにボールを繋ぎ、その間にインナーラップで一気にゴール前に迫ったメンディにパスが出されたことで起こったものだった。

 数的不利になったことによって、アタランタのオールコートでのマンツーマンディフェンスは不可能になってしまった。レアルはナチョやルカ・モドリッチがボールを持ったままするすると上がることができるようになり、圧をかけてアタランタを押し込むことが容易になった。

 さらに30分、アタランタはストライカーのドゥバン・サパタが負傷交代。ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は前半のうちに守備と攻撃の両面で大きくプランを崩さなければならなくなってしまった。
守備は5バックで構えるゾーンディフェンスがメインになり、高い位置でマイボールになることがなくなった。それによって攻撃に出るには時間と運動量が必要になったが、前線の収まりどころがなくなったことでその攻撃を成立させることも困難になった。

 それでも、アタランタは集中した守備で得点を許さなかった。オールコートでのマンツーマンではなくなったことで、イスコを使ったレアルの作戦はそれ以上効果を発揮せず、試合はスコアレスドローが妥当な展開になっていった。

 しかし86分、メンディのスーパーゴールで勝負あり、となった。苦しい状況になっても健闘していたアタランタだったが、最後に個の前に敗れることになった。

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