■最も重要な3回目で止められなかった

 先制の場面では、ルカクがスピードでアレッシオ・ロマニョーリを振り切ったことがポイントになった。強さだけではなく速さも厄介なルカクが一気に前を向くプレーをした時点で勝敗が分かれる。ルカクにフィジカルでもスピードでも勝てるディフェンダーというのはかなり限られるが、個で勝てないのであれば前を向かせない守り方をしなければならない。

 個人では体を寄せて、ボールをキープされても一気に前は向かせない、あるいは、前を向かれるにしてもチームでカバーして少しでも時間をかけさせる。ミランは今シーズンあった2度の戦いでは上手くやれていたが、最も重要な試合になったこの3度目のタイミングでできなかった。3点目も距離をとって守ろうとしたが、構えているだけでルカクを止めることはできなかった。

 つまり、この試合のミランは強度が落ちていた。

 ミラン全体が、相手に寄せるタイミングを逸していた。プレスはうまくかからず、カバーに戻ってくるプレーも足りなかった。怪我人を多く出しながらチーム全体でカバーし合って前節まで首位を守ってきたミランだったが、疲労の色が濃くなっている。

 しかし、前半の内容や最終的なスコアでは完敗だったが、後半開始からしばらくは首位を守っていた時の強いミランの姿があった。立ちはだかったのはサミール・ハンダノヴィッチだ。立て続けにビッグセーブを見せ、ミランの勢いを削いだ。ラウカクコンビによる勝利ではあるが、ハンダノヴィッチなくしてこの結果はありえなかったことを付け加えておきたい。

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