■ストライカーはいる。あとはどうやって決定機を作るか

 前線にはJ1とJ2で実績のあるフアンマ・デルガドに加え、セレッソ大阪からブルーノ・メンデスを迎えることができた。昨季のJ1で9ゴールをあげたブラジル人FWは、川崎Fにレンタルバックした遠野大弥の穴を埋めてくれるだろう。

 得点源となる存在はいるだけに、決定機の創出がポイントになる。期待を寄せられるのは、ベルギー人MFジョルディ・クルークスだ。27歳のレフティーは右サイドをメインに2列目に適応するが、外国人の新規入国制限でチームに合流できていない。

 また、GKと同様にJ1でのプレー経験を持つ2列目の選手が少数なのは気がかりだ。2月15日に加入が発表されたMFカウエは、ブラジルの典型的な第1ボランチだ。大宮アルディージャアルビレックス新潟に在籍したことのある彼は、ボール奪取を特徴とする。

 また、クラブは2月18日に緊急補強を発表した。13年から16年まで在籍し、その後は鹿島アントラーズとサガン鳥栖でプレーしてきた金森健志を獲得したのだ。開幕節の前週の補強は、2列目の人材を手厚くするためと考えられる。

 いずれにしても、守備をベースとした戦いでのシーズンインが現実的だ。エミル・サロモンソンのようなリスタートのキッカーと、グローリやフアンマのような長身選手がいるだけに、リスタートを有効活用したい。

 就任1年目で福岡をJ1へ導いた長谷部監督は、戦略の幅が広い。昨季は4バックから5バックへ切り替えて逃げ切るといったような、割り切った戦いも見せていた。対戦相手と試合の意味合いに応じて多数の引き出しを用意していくはずで、指揮官のベンチワークも目標達成のキーファクターになる。

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