【チャンピオンズリーグ ラウンド16 1stレグ ポルトvsユベントス 2021年2月17日(日本時間29:00キックオフ)】
セリエAを9連覇しているユベントスを相手に、ともに前後半開始1分以内に奪った2ゴールでの先勝は、勝利の女神がポルトに最高の笑みをプレゼントしたかに見える。キックオフ早々に相手の虚を突いた格好ではあるが、これを単なる僥倖として片づけてはいけない。
試合開始60秒、いきなり試合が動いた。ユベントスが自陣でボールを動かし、引いてきたロドリゴ・ベンタンクールがGKボイチェフ・シュチェスニへ戻した瞬間だった。猛然と詰め寄せたポルトの2トップの一角、メフディ・タレミがスライディング。シュチェスニの鼻先で放ったこの試合のファーストシュートが、ゴールネットを揺らした。
この場面、ユベントスの慢心の一言では収まらない。もはや、これは「守備のセットプレー」である。
4バックながら攻撃時には可変式でレフトバックのアレックス・サンドロを高く上げるユーベに、ポルトは超コンパクトな布陣を敷いて対抗した。DF、MF、FWの3つのきれいなラインを、最終ラインから2トップまで、約20メートルの距離に収めた。このブロックが連動して素早くスライドし、A・サンドロや、自由とボールを求めてサイドに流れるクリスティアーノ・ロナウドさえも「蚊帳の外」に置いた。
ボールを奪えばカウンターを発動。そのままシュートまで持ち込む場面はなかったが、狙いはユベントスがボールを奪い返してからだった。自陣でボールを持ったイタリア王者は、最後尾までボールを戻す。この「リスタート」をポルトは狙っていた。