■カウンターのターゲットは右サイドハーフ
カウンターも、単なる期待を込めたロングパスではなかった。ターゲットは、体格の良い2トップではない。右サイドハーフのヘスス・コロナだ。
前述した22分の場面も、走り込んだのはJ・コロナだった。しかも、ペペからのロングパスが送られたのはピッチ中央より左だった。このメキシコ代表は右タッチラインから最前線へと快足を飛ばし、反撃の急先鋒となっていたのだ。
ポルトの2トップは、この変則カウンターを発動する絶好のおとりとなっていた。特にタレミは下がることが多く、そうして相手の目を引きつけた裏へ、斜めにJ・コロナが走り込む。相手の可変式布陣を超える可変式カウンターだった。
J・コロナは、守備でもキーマンだった。対峙したのは、かつてポルトでプレーしたA・サンドロだ。J・コロナはA・サンドロと入れ替わる形でポルトにやって来たが、チームはこの元同僚の危険性をよく理解していたのだろう。コンパクトな4-4-2の守備布陣からはみ出しても、J・コロナがA・サンドロに食らいついていく場面が徐々に増えていった。後半途中には、投入したマルコ・グルイッチをアンカーに置いた4-1-4-1へとシステムを変更。サイドへの監視の目を強めていった。
結果的に、ポルトの見立ては失点によって正しかったと証明される。82分のユベントスのゴールは、相手の寄せに対して一度CBにボールを戻しながら、フリーになってリターンパスを鋭く前線へ送る、A・サンドロの縦パスから始まったのだ。
右タッチライン際から長い距離を走ってきたにもかかわらず、エリア内でダイレクトで叩いたアドリアン・ラビオからのクロスをしっかりと縦回転のシュートに変えたフェデリコ・キエーザの才は、名ストライカーだった父エンリコ・キエーザの血の濃さを思わせた。
ユーベがアウェイゴールを奪ったことで、“後半戦”の面白さはさらに増した。ポルトがさらなる隠し玉を出すのか、ユベントスがカルチョの国で9連覇した実力を示すのか、セカンドレグへ興味は尽きない。
■試合結果
ポルト 2-1 ユベントス
■得点
02分 メフディ・タレミ(ポルト)
46分 ムサ・マレガ(ポルト)
82分 フェデリコ・キエーザ(ユベントス)