■狙っていたバックパスとキックオフ

 例えば21分の場面。ユーベの自陣でのスローインで、ボールを受けたジョルジョ・キエッリーニと同じ高さにいたオタビオは、相手が次のアクションに移ろうとする瞬間、前へのパスコースを消そうとするのではなく、GK方向へ向かって走り出そうとした。左サイドハーフの位置からピッチ中央の最前線に位置取っていたことからも、こうした動きが用意されたものであることがうかがえる。結局、戸惑うキエッリーニが左サイドへ送ったミドルパスは、ミスとなってタッチラインを割った。

 その1分後には、ポルトの「守備のリスタート」が、より危険性を露わにしている。最終ラインからのロングパスはキエッリーニに回収されたものの、ボールがユベントスGKに戻った瞬間からが勝負だった。シュチェスニがパスを受けた瞬間、ポルトの3選手がゴールへ迫ってパスコースを消す。一度は引いたMFに渡るも出しどころのないボールはGKへ戻り、シュチェスニがダイレクトで前線へ蹴る。だが、このキックがミスとなり、拾ったセルジオ・オリベイラがすかさずシュートを放っている。体を投げ出したDFに当たらなければ、鋭く枠内を襲っていたであろう一撃だった。GKからのリスタートは、ポルトにとって絶好の狙い目だったのだ。

 後半開始18秒での2点目も、幸運ではなく意図的に奪ったものだった。キックオフしたポルトが前線にロングパスを送り、跳ね返しを拾ってからのプレーをムサ・マレガが決めた。流れだけをつづればこれだけのことだが、これもデザインされたリスタートだ。

 ポルトがロングパスを送った、と記した。大事なのは「走り込んだ選手」だ。

 右サイドに張り、受け手となるべく走り出していたのは、CBのペペだった。今月26日に38歳になる大ベテランへのボールは通らなかったものの、この1本のパスからゴールは生まれた。いわば、「セットプレーからの流れ」で奪った得点である。

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