J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎横浜F・マリノス
一昨年のJリーグチャンピオンは、得失点差が+10でありながら、14勝5分15敗という負け越しで9位に終わった。
相手チームに対策をされてロングボールで左右のサイドバックの裏を突かれ、揺さぶられることが増えると、売りである攻撃の場面で走りきる選手が減ってしまった。ボールを動かして試合を支配することは、走らないこととイコールではない。適切なポジションを取り続け、相手に的を絞らせないためにパスコースに顔を出し続ける。守備で弱点を突かれ始めると、攻撃面でそこが少しずつ足りなくなっていった。
このオフには、元気印でムードメーカーのエリキを失い、エジガル・ジュニオとも別れた。ACL決勝トーナメントの外国人枠の関係でサガン鳥栖にローン移籍となっていたゴールキーパーの朴一圭もそのまま完全移籍に移行してチームを離れることになった。
アンジェ・ポステコグルー監督のもとで2019年に完成したチームは、再構築の時期を迎えた。不安定になったチームに途中加入し、22試合で13ゴールを記録して個の力で勝ちをもたらした、まさに助っ人としての存在だったジュニオール・サントスを完全移籍で獲得しなかったことは、チームを作り直すことに本腰を入れるということだろう。
幸先は良い。2年連続のオファーで大分トリニータから岩田智輝を獲得に成功し、まずは守備からチームを整える。新外国人選手の合流が未定となっているチームが多い中、おそらくはエリキの代役となるフォワードの新戦力エウベルは既にチームに合流済みだ。
センターフォワードを務めるであろうレオ・セアラが、実はJ3のFC琉球でプレーしていた選手だ、ということを不安に思うサポーターもいるが、2019年の戦いを象徴する選手だった朴もJ3のFC琉球から獲得した選手だった。ポステコグルー監督が「前のポジションで順応できる選手」と評している以上、かつてのカテゴリーは関係ないだろう。
2019年のチームを崩し、2020年の課題を克服する新チームを完成させる。
サポーターの期待も高い。11月3日の鹿島アントラーズ戦では、20,515人の入場者数を記録した。これはコロナ禍のJリーグで最多の数字だ。ユニフォームの販売数も過去最多を記録した。2012年から比べると3倍にもなった。結果が出ない時期でも「We Trust Our BOSS」のメッセージを掲げてアタッキングフットボールの成熟を信じ、見守ってきたサポーターに、再び歓喜を届けられるか。