■ヘタフェの戦い方に変化はなし
1月31日に行われたスペインの「ラ・リーガ」第21節ヘタフェ対アラベス戦。1月にレンタル加入したばかりの久保建英は3試合連続で先発出場を果たしたものの、ほとんど見せ場を作ることもできないまま後半34分に交代を命じられてベンチに下がった。久保と同じく1月にレンタル移籍でヘタフェに加わったカルレス・アレニャと同時に、である。
フィジカル・コンタクトを重視し、堅守速攻型のヘタフェだったが、バルセロナのカンテラ出身でテクニカルなプレーができる久保とアレニャの加入によってスタイルが変わっていくのではないかと期待されているが、ホセ・ボルダラス監督が長い時間をかけて形成されたチームが、シーズンの真っ最中にそう簡単に変化するというのは現実的ではない。
なにしろ、残留争いに巻き込まれる恐れすらあるのだ。監督としても、クラブとしても、リスクは冒したくはないだろう。
とくに、前節のアスレティック・ビルバオ戦で1対5と大敗を喫していただけに、アラベス戦ではヘタフェは守備を重視せざるを得なかった。しかも、DFに故障者が出たこともあって慣れないスリーバックで戦っていたのだ。どうしても、重心が下がってしまう。
さらに、対戦相手も18位と降格圏にいるアラベスであり、今シーズン残留争いに巻き込まれた場合、ライバルともなりうる相手だ。アラベスに勝点3を与えることだけは避けたかったのかもしれない。だから、後半30分を過ぎてスコアレスで試合が進んだ段階で、ボルダラス監督は「勝点1の確保」を選択して久保とアレニャを退けたのだ。
交代で退いた直後に久保とアレニャがベンチに座って、水を飲んでいるツーショットが抜かれたが、「なんか、えらいところに来ちゃったなぁ……」といった吹き出しを2人に付けたいようなシーンだった。