スペイン人指導者の目に映る日本サッカー(5)「久保建英の“中心”での力」「三笘薫はスペインでやれる」の画像
アレックス・コレア氏(右)とダビド・ビジャの通訳を務めた神蔵氏
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近年、Jリーグでプレーするスペイン人選手が増えている。また、乾貴士久保建英と、かつてはハードルが高かったスペインの1部リーグでプレーする日本人選手も増えている。では、近づいてきた両国では何が変わり、またどんな差が横たわっているのか。ヨーロッパ最高位の指導ライセンスであるUEFAプロを持つチーム・個人のパフォーマンス分析の専門家であり、元スペイン代表ダビド・ビジャらが生み出したメソッドを日本で伝えているアレックス・ラレア氏に話を聞いた。

■変わりつつある日本選手

 日本とスペインの間には、やはりピッチ内外で大きな差があるようだ。一方で、スペインで活躍する選手が増えているのも事実。ラレア氏の目にも、スペインでの活躍が浮かぶ選手が映っている。

三笘薫選手は、間違いなくスペインでやれるでしょう。日本の良い選手の特徴として、ゴールにシンプルに向かっていくダイレクトプレーがあります。ドリブルなどで個人での状況打開を得意とする選手が日本には多いのですが、三笘選手はそうした力を持ちつつ、チームメイトとパスをつなぐプレーやワンツーでの抜け出しと、味方を使ったプレーも非常に得意としています。その2つの力を持っているという点で、他と比べても頭抜けた選手だと思います」

 かつて日本人選手と言えば、連係プレーはできるものの、個の力は弱いと考えられてきた。国内でバルセロナのようなティキタカへの称賛が高まった理由の一端も、そこに求められる。だが、「日本らしさ」への視線は、スペインでは異なるようだ。

「特長である1対1での強さや1人で状況を打開する力を、日本の選手がスペインでも実践できるようになり、その点をスペイン人が評価するようになったことが、リーガでプレーする日本人が増えた大きな理由だと思います。最終ラインやアタッキングサードでの守備が整備された現代サッカーでは、非常に高く評価される点です。乾貴士選手や久保建英選手はその代表例だと思うし、武藤嘉紀選手も前線でラインを突破する能力が非常に高いので、評価されているのだと思います」

 早くにスペインへと渡り、10代で1部リーグでプレーする久保への期待は、日本でも日々高まっている。だが、今季移籍したビジャレアルではなかなか出場機会を得られなかった。その理由は、どこにあるのだろうか。

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