■久保選手についてのラレア氏の予想が的中
「マジョルカやFC東京でもそうだったように、久保選手は中心選手としてプレーすると非常に良いプレーができます。自分が中心となって動く時の、幅広いプレーを自信を持って実行できる力は非常に優れたものでした。ビジャレアルのウナイ・エメリ監督はグループを尊重し、中心選手を置くよりグループ全体で勝つことを目指します。だから、久保選手にも、より献身性を要求していたのではないかと思います。
でも久保選手は、結果を出すためのアプローチを尊重しているので、ズレがあったのではないかと想像します。そのため出場機会が減っていたのではないかと思いますが、ヘタフェではまた、自分にできるプレーを見せてくれると思うので楽しみです」
このインタビューから数日後、交代出場でヘタフェでのデビューを果たした久保は、ゴールにつながるプレーを披露した。まさに、ラレア氏の予想したとおりとなった。
久保には、日本代表でも中心選手として成長していくことが期待されている。ワールドカップで3度のベスト16進出を果たしている日本代表が、さらなる高みに到達するには何が必要か。
ラレア氏は、
「ブラジルやフランスといった強豪国でさえ失敗することもあるのだから、日本がグループ突破をできていることは評価すべき」
と話しつつ、こう語る。
「ベスト8やそれ以上を目指すのに大事なのは、経験値です」
これまで日本人選手が弾き返されてきたスペイン1部リーグで、現在は4人がプレーしている。そうして国外で重ねる経験が、日本サッカーの力になっていく。
昨年から仕事を始めた日本で、ラレア氏はいくつもの発見をした。子どもたちはスペインの同年代よりも技術が高い一方、戦術的な拙さという「伸びしろ」も残している。川崎フロンターレというチームやその選手は、スペインにおいても輝ける存在であることを確信した。
そんな可能性を秘める日本で、ラレア氏も夢を育んでいる。
「日本に来た目的は指導者として、多くの経験をし、一人の人間としても成長するためにやってきました。日本語も勉強し、日本人の文化を理解することで日本サッカーをより深く理解しようと試みています。スクールの子供達とのトレーニングももちろんですが、様々なプレーヤーと、指導者として関わることが出来たら幸せです。日本サッカーの発展に少しでも貢献したいです」
世界中で、サッカーの発展の可能性が芽吹き続けている。
〈完〉
スペイン、サンセバスチャン出身.元スペインサッカー協会会長の父、U-21スペイン代表で現在レアル・ソシエダ育成部長の兄など、エリートぞろいのサッカー一家で育つ。自身もカナダでプロとしてプレーした後、一度は会社員となるも、再び指導者としてサッカーの世界へ。ヨーロッパ最高位の指導資格であるUEFAプロライセンスを取得し、現在は日本でDV7サッカーアカデミーのディレクターコーチを務める。
ダビド・ビジャが創立し、ロジカルプレーが身につきプレースピードが圧倒的に高まるというDV 7アカデミーは、来季に向け2月からセレクションを実施。