■試合に秩序がないのが気になる

 日本でのスクール創設から9カ月が経ち、1都3県に広がる5校で忙しい日々が続く。日本での仕事をラレア氏は、

「練習に来る子どもたちは非常に楽しそうだし、一生懸命やってくれるおかげで、毎日のトレーニングへのモチベーションも高く保たれています。日本の子どもたちの吸収の早さや、自分のものにする力を間近で体験できたのは、私にとって非常にうれしいことでした」

 と語る。

 日本で目にするものは、ラレア氏にとって刺激的だったようだ。「日本の子どもたちのボールを扱う技術のレベルは高いですね。質の高さは、想像していた以上のものでした」。一方で、気になることもあったという。

「ただし、技術レベルが高い一方で、戦術的なトレーニングがされていないと感じました。試合では1対1の連続になってしまい、『秩序』がないんです。サッカーに対して、チームスポーツとしてのとらえ方がほとんどされていない印象が残りました。スペインの子どもたちには日本の子ほどのボールを扱う技術はありませんが、チームスポーツとしてのサッカーを志すという意味で、試合の内容が大きく違っている印象があります」

 ラレア氏の指摘は、日本サッカー界の発展のための大きなヒントとなり得る。

※第2回につづく

Alex Larrea
スペイン、サンセバスチャン出身.元スペインサッカー協会会長の父、U-21スペイン代表で現在レアル・ソシエダ育成部長の兄など、エリートぞろいのサッカー一家で育つ。自身もカナダでプロとしてプレーした後、一度は会社員となるも、再び指導者としてサッカーの世界へ。ヨーロッパ最高位の指導資格であるUEFAプロライセンスを取得し、現在は日本でDV7サッカーアカデミーのディレクターコーチを務める。

ダビド・ビジャが創立し、ロジカルプレーが身につきプレースピードが圧倒的に高まるというDV 7アカデミーは、来季に向け2月からセレクションを実施。

DV7サッカーアカデミー公式HP
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