■どのポジションにも不足はない

 アタッカー陣では、山口一真の獲得も大きい。鹿島アントラーズから水戸ホーリーホックへ期限付き移籍した昨シーズン、山口は得点ランキング4位の15得点を記録した。個人で局面を打開できる彼には、右足のプレスキッカーも任せられる。

 昨シーズンの柴田監督は、3-1-4―2のシステムを基本布陣とし、ときに4-4-2へ変化させたりもした。2トップの一角でもサイドハーフでもプレーできる山口の獲得によって、戦術的な広がりと攻撃力アップを両立できるだろう。昨年11月末の試合で左ひざの前十字じん帯損傷及び外側側副じん帯損傷の負傷を負い、シーズン開幕には間に合わないとみられるが、復帰後が楽しみな選手である。

 攻撃陣の顔触れが充実した一方で、20年シーズンの主力クラスを失ったポジションもある。そのなかでも、右ワイドを主戦場とし、チームトップのアシストを記録した鈴木雄斗の離脱は影響がありそうだ。2シャドーやワイドで36試合5得点の成績を残した杉本太郎も、アビスパ福岡へ新天地を求めている。2列目の選手としては河合秀人FC琉球から加入)や田中パウロ淳一(レノファ山口FCから加入)らを補強しているが、それぞれのポジションの序列が気になるところだ。

 とはいえ、ボランチ安東輝の水戸からのレンタルバック、同じく水戸で汎用性の高さを示した外山凌の完全移籍、さらにはFC東京のMF平川怜の期限付き移籍など、どのポジションにも人材を揃えた。昨シーズン途中から加わった前貴之佐藤和弘が、完全移籍に切り替わったのも大きい。

 昨シーズン後半戦を助走として、松本はJ1昇格争に絡んでいきそうだ。

 

【補強充実度】  A 

どのポジションにも不足はない。

【J1昇格本気度】  

外国籍選手は少ないが、間違いなく本気度が伝わってくる。

【J1昇格可能性】  

点を取れる選手を揃えたことで、勝ち切れるチームへ変わっていけるとの期待を抱かせる。

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