■背番号10・高橋の残留は”大きな補強”だが
Jクラブでの監督経験が豊富な小林伸二監督兼スポーツダイレクターも、編成が難しくなるのは想定していたに違いない。手薄となったポジションは補強しており、即戦力としては年齢別代表を経験してきたサイドバックの藤谷壮(ヴィッセル神戸)、J1の清水で150試合以上に出場してきたボランチ六平光成の名前があげられる。さらには昨シーズン途中から山形でプレーしたFW前川大河、20年は水戸でプレーしたDF乾貴哉らも迎え入れ、FWには狩土名禅(明治大学)と平山駿(法政大学)が加わる。
また、清水からの期限付き移籍だったMF高橋大悟が、21年シーズンもプレーすることになった。背番号10を着けるレフティの残留は、何よりの“補強”と言っていい。さらに昨シーズン途中にジュビロ磐田から期限付き移籍し、ボランチを中心に試合に絡んだ針谷岳晃も、引き続き北九州のユニフォームを着る。長身CB生駒仁の期限付き移籍延長、経験豊かなサイドバック永田拓也の完全移籍への移行もプラス材料だ。
しかし、収支はマイナスと言わざるを得ない。
ふたりの大学生FWは、将来性豊かな好素材だ。大卒1年目の活躍は、近年のJ2では例外ではない。それにしても、ディサロ(18点)、町野(7点)、鈴木(6点)の合計31点を埋めるための補強としては、不確定要素が大きい。
2020年シーズンのチームも、“無印”と言っていい陣容だった。小林監督のもとでハードワークを身に着けていったことが、結果に結びついた。
19年のJ3から作り上げてきたチームの土台は、もちろん残っているだろう。しかし、J1昇格争いに加わるレベルまで持っていくのは、経験豊富な小林監督でも簡単ではなさそうだ。
【補強充実度】 C
とくにFWの補強に手こずっている印象が。主力をここまで引き抜かれると、同じレベルの選手を揃えるのは難しいが……。
【J1昇格本気度】 C
昨シーズンの戦いで得た自信に、小林監督の経験値を加味しても、トップ2入りへの見通しは厳しい。
【J1昇格可能性】 C
上記と同じ理由で。新加入選手を含めてチームを鍛え上げつつ、シーズン中の補強で足りない部分を埋める必要があるのでは。