■重要なのはトイレの問題

 サンガスタジアムはガンバ大阪の本拠地「パナソニックスタジアム吹田」(市立吹田サッカースタジアム)と印象が似ている。

 球技専用スタジアムであれば構造が似てくるのは当然のことだが、屋根の構造などもきわめてよく似ている。ただ、収容人員はパナソニックスタジアムが3万9694人であるのに対して、サンガスタジアムは2万1600人と半数強とやや小ぶりであり、その分全体がコンパクトにまとめられている。

 パナソニックスタジアムが完成した時には、場内の売店が少なくて行列ができたとか、記者席や放送関係のスペースが足りないなどの問題点が指摘されたが、そうした点でサンガスタジアムは大幅に改善されているように思えた。「後発の利」というものであろう。

 日本でも、球技(サッカー)専用スタジアムが数多く建設され、そうしたスタジアム建設の経験が積み重ねられてきているのだ。

 サンガスタジアムの場合、1階席の後方がかなり幅の広いコンコースになっていて、そこに売店やトイレが並んでいる。つまり、ゲートの外に出ないで売店やトイレが利用できるのだ。トイレなどの数自体も充実しているが、狭いゲートを出たり、階段の上り下りをせずに売店やトイレが利用できるので混雑緩和につながるだろう。

 アメリカの野球場やフットボール用のスタジアムも、売店の数が多く、座席から売店まで簡単に行けるような構造になっている。アメリカのスポーツはサッカーに比べると間合いが多いので、売店で食べ物や飲み物を購入して楽しむことが多い(日本には、江戸時代の芝居見物、相撲見物の時代から、桟敷で弁当などを楽しむ伝統がある)。

 昨年の秋にはラグビーのワールドカップが日本で開催されたが、僕も味の素スタジアムでフランス対アルゼンチンという好カードを観戦した。その時に、一般席のトイレも利用したのだが、ゲートから外のコンコースに出て、さらに階段を下りなければならなかったので男子トイレでもかなり多くの人が滞留していた。トイレの数を増やすことはもちろん必要なのだが、同時にトイレを利用するための導線をいかにして短くするかも重要だ。その点で、ゲート内のコンコースにトイレを設けたというのは素晴らしい設計と言っていい。

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