■競技の魅力を高めるために
「5人制」を恒常的なルールにすることを強く提案したい。サッカーをより魅力的なものにするためだ。
昨年、ラグビーのワールドカップを見て少なからぬショックを受けたのは、少し見ないうちにラグビーという競技が洗練され、多くの人に楽しめるエキサイティングなものに変わっていたことだった。8人も交代ができ、負傷の治療時には「一時的交代」までできる。一時的退場(シンビン)の導入、アドバンテージの徹底、ビデオレフェリーの導入など、「ワールドラグビー(WR)」という組織がこの競技の「エンターテイメント化」に大胆な取り組みをした結果、初めて見た人でも引きつける力が生まれたのだ。
サッカーはどうだろう。ルール改正の動きは驚くほど遅い。その一方、短期間の準備で、しかもIFABのひとりよがりな「プロトコル」によって運営されているビデオアシスタントレフェリー(VAR)は、プレーヤーやファンのためでなく、IFABの自己満足に堕している。欧州の一部クラブにテレビから巨額資金が流れ込み、スター選手を掻き集めることで繁栄が極まったかのように見えるかもしれないが、サッカー自体は、過去20年間でどれだけ魅力的で、楽しめるものになっただろうか。
「5人交代制」は、さらにサッカーを進化させ、新しい魅力を生むものになる可能性を秘めている。1925年にオフサイドを「3人制」から「2人制」に改めて以来の大革命になる可能性さえある。1925年のオフサイドルール改正では、世界中で得点数が飛躍的に増えた。GKに加えDFが1人いてもオフサイドになるというルールの下、リスクを冒さずに2人目のDFがオフサイドトラップをかけることができた怠惰なサッカーは、この改正で消えた。