「5人交代制」を継続せよ!(3)止めようのないサッカーの「革命」の画像
5人交代制に見事に対応した川崎フロンターレ 撮影/中地拓也

※第2回はこちらより

サッカーという競技が変わろうとしている。暫定的に始められた「5人交代制」がサッカーを進化させつつある。90分にわたって衰えないプレー強度と衰えない運動量・スピードが競技に新たな魅力を与えた。さらに若いプレーヤーの出場機会を増やし成長を促している。この新たな制度を恒常化することを提案する――。

■サッカーは変わろうとしている

 川崎フロンターレが今季のJリーグであれほどの「独走」ができた理由として、多くの人が交代選手の質の高さを挙げる。最高の例が三笘薫だ。30試合に出場してクラブ第2位の13得点。堂々たる「レギュラー」の数字である。しかし先発出場はわずか11試合。三笘は19試合に交代出場し、そのなかで8ゴールを挙げている。味方も相手も疲れた時間帯に、「これでもか」というようなドリブル攻勢をかけられたら、相手はお手上げだ。川崎は「5人交代」をどこよりも効果的に利用した。

 だがより大きなのは、「試合の変質」だ。浦和レッズの監督を務めた大槻毅さんは、「交代選手を的確に使うことにより、前線からの守備など、試合の強度を落とさずに1試合戦えるようになった」と話す。11人のうち5人が交代できるなら、最後まで運動量が落ちないサッカーができるのだ。

 あれだけの過密日程だったにもかかわらず、今季のJリーグは、「運動量」という面で画期的なシーズンだった。Jリーグは過去6シーズンにわたって走行距離とスプリント回数を試合ごと、選手ごとに発表してきたが、1試合のチーム平均では、走行距離114.461キロ、スプリント164回と、いずれも今季は過去最高の数字を記録した。過去5シーズン、スプリント回数は「微増」の傾向にはあったものの、走行距離は111キロから112キロ台で、はほぼ横ばいだった。それが一挙に2キロも増えたのだ。当然、試合の「質」も変わる。

 特殊状況下の暫定ルールと軽視するのは早計だ。「暫定期間」が「年内」から半年延び、1年、さらに1年半と延びることで、サッカーは確実に変わろうとしている。いや、すでに変わってきている。革命は、すでに進行しているのだ。この革命を止めることはできない。後戻りすることはできないのだ。

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