■取り消された佐々木大樹のゴール

 蔚山現代とヴィッセル神戸の準決勝では、75分に佐々木大樹が決めた“2点目”がVARの介入によって取り消されて問題となった。

 中盤で安井拓也がボールを奪ってドウグラスとのワンツーで抜け出してシュート。このシュートをGKが弾いたところを詰めていた佐々木が蹴り込んだものだ。準々決勝の水原三星戦で延長PK戦まで戦っていた影響で足が止まりかけていた神戸にとっては貴重な追加点となるはずだった。

 ナワフ・シュクララ主審(バーレーン)もいったんはゴールを認めた。だが、そこでVARが介入し、最初に安井がボールを奪ったプレーがファウルだったと判定されて、ゴールは取り消されてしまった。

 このジャッジに関しては、すぐにヴィッセル神戸が抗議の意思を示したのに続いて、日本サッカー協会の田島幸三会長も抗議文を提出する方針と伝えられた。

 このジャッジに関しては2つの問題点がある。

 まず、一つ目は安井がボールを奪ったプレーが本当にファウルだったかどうかという点。たしかに、接触はあった。だが、あの程度の接触をファウルとするのかという点については、見解が分かれるところだろう。つまり、判定基準の問題だ。

 Jリーグでは「軽度のファウルがあってもできる限りプレーを続行させる」という方針の下、最近は接触があったとしても簡単にファウルを取らないようになってきている。Jリーグだけではない。アンダーカテゴリーの試合でも、女子の試合でも日本の審判員は極力プレーを流そうとする。両チームから文句を言われても、日本の審判員は気丈に、勇気をもってプレーを流そうとする。日本のサッカーがヨーロッパや南米と戦うために、国内の試合でもプレー強度を上げる必要があるからだ。

 そして、最近では選手たちもそうした判定基準に慣れて、多少のファウルを受けても倒れずにプレーを続行する姿勢が身に付き始めている。

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