「ジダンはレアル・マドリーを救えるか」アザールの負傷離脱でよぎるベイルの影の画像
エデン・アザールとジネディーヌ・ジダン 写真:ロイター/アフロ

 不安定な飛行が続いている。

 レアル・マドリーはチャンピオンズリーグ・グループステージ第4節でインテルに快勝し、決勝トーナメント進出に大きく前進した。だが、次に迎えたリーガエスパニョーラ第11節でアラベスに屈し、ジネディーヌ・ジダン監督が「説明がつかない」と語る敗戦を喫した。

■アザールのコンディション

 ジダン監督の大きな悩みのひとつは、エデン・アザールのコンディションだ。

 アザールは2019年夏にチェルシーからマドリーに移籍。マドリーは彼の獲得に際して移籍金1億ユーロ(約120億円)を支払っている。2013年夏に獲得したガレス・ベイル(移籍金1億100万ユーロ)以降、1億ユーロを超える移籍金で加入した選手はマドリーにいなかった。

 だが、ここまでのアザールはまさにそのベイルを思い起こさせるような日々をマドリードで送っている。度重なる負傷だ。

 ベイル、カリム・ベンゼマクリスティアーノ・ロナウド(現ユヴェントス)の「BBC」はマドリーの看板3トップとして大きな期待を寄せられていた。だが、彼がフル稼働できたと言えるのは2013-14シーズンと14-15シーズンのみで、徐々に居場所を失っていった。

 アザールは、元々、負傷の多い選手ではなかった。チェルシーに在籍した7シーズンにおいては、20試合に欠場したのみだ。しかしながらマドリー移籍後、すでに36試合に欠場している。チェルシー時代に関しては、2015-16シーズンに腰の痛みで数週間の離脱を経験している。それでも、5試合に欠場したのち、戦列に復帰した。それが最長期間の離脱だ。

■ベンゼマの存在

 ジダン監督が再就任後に攻撃の中心に据えてきたのは、ベンゼマである。

 今季、ジダン監督は複数選手をベンゼマの「パートナー」として試してきた。ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、ルーカス・バスケス、マルヴィン・パーク、セルヒオ・アリーバス、ルカ・ヨヴィッチ、ボルハ・マジョラル(現ローマ)...。だが指揮官の中で回答は見つからなかった。

 皮肉なことに、ベンゼマと最も良いコンビネーションを見せてきたのがアザールだった。ジダン監督としてはカリム・ベンゼマ、アザール、マルコ・アセンシオの3トップを使いたいというのが本音だろう。昨季は、プレシーズンでアセンシオがひざを負傷して長期離脱。今季はアザールとベンゼマの負傷で彼らの起用の目処が立たなくなっている。

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