「コンタクトプレーのジレンマ」(1)東京・中村帆高と川崎F・谷口彰悟「2つのファウル」の画像
ACL再開初戦でボールを奪い合う于漢超(上海申花)と中村帆高(FC東京) 写真:新華社/アフロ

再会されたACLを戦うFC東京が、再開初戦を受け入れがたい判定によるPKで敗れた。DFが相手FWに手をかけて、PKを取られた。川崎フロンターレが、勝てば優勝という大一番で大分トリニータに敗れた試合でもあったケースだ。

■似ていた2つの反則

 アジアのクラブ王座に挑む「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)」。新型コロナウイルスに翻弄されるなか、残された「東地区」の戦いが中東カタールで始まった。だが日本勢の先頭を切ってピッチに登場したFC東京は上海申花(中国)と対戦した11月24日の初戦で0-1の敗戦。0-0で迎えた後半27分にPKを献上、これが決勝点となって0-1で敗れた。

 FC東京から見て中盤やや左からの上海申花のFK。FC東京ディフェンスラインの背後にけり込まれたボールに対し、いちばん外から于漢超が走り込んでくるのに気づくのが一瞬遅れた中村帆高が思わず手を出すと、于漢超はもんどり打って倒れた。中村帆高の左手は、確かに于漢超の右腕にかかっていた。しかししっかり握っていたわけではなく、少しかけただけのように見えた。だがヨルダンのアダム・マハドメフ主審は迷わず笛を吹き、上海申花にPKを与えた。

 そのシーンで、前週の土曜日、「勝てば優勝決定」という大分トリニータ戦でPKを与えただけでなく、「決定的な得点の機会の阻止(DOGSO)」として退場処分になった川崎フロンターレの谷口彰悟を思い起こした人も多かったのではないか。彼もまた、背後に送られたボールで抜け出した野村直輝の右腕に右手をかけてしまい、野村ももんどり打って倒れた。

 それぞれのPKで、FC東京はグループステージ突破に大きく前進するチャンスを逃し、川崎はJリーグ優勝決定を逃し、谷口自身もガンバ大阪をホームに迎える次節には出られなくなった。ボールを止めようとプレーしての結果ではないファウルによるPK。代償は大きかった。

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