■全クラブを回ってジャッジの基準を説明

 2つのPKは、ことし2月に開催された「JFAレフェリ-ブリーフィング」でのやりとりを思い起こさせた。

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、定期的にメディアを対象とした「レフェリーブリーフィング」を開催している。Jリーグの重要な判定を映像で取り上げ、判定は正しかったかどうか、なぜその判定に至ったかなどを詳細に説明して、メディアにサッカーのルールを理解してもらい、それによってファンの理解を深めようという狙いで、これを始めてからルールの理解が急速に広まったのは間違いない。そして毎年、シーズンはじめには、そのシーズンの「判定基準」を示す映像(「レフェリング・スタンダード」と呼ぶ)を元にしたブリーフィングが行われる。

 この映像は、シーズン前のキャンプ期間などに委員会のメンバーが全クラブを回って選手やスタッフに見せ、解説しながら選手や監督との質疑応答もこなし、「完全に理解してもらった」という形で開幕を迎えるという、非常に重要なものだ。現在では「JFA.TV」でも公開されており、シーズン中いつでも見ることができる。

 さてことし、JリーグとJFA審判委員会は、「フェアでタフでエキサイティングなゲーム」と銘打ち、多少のコンタクトでは反則を取らず、プレー続行を促していく方針を決めた。ちょっとしたことで倒れてFKを得ようとするプレーが、Jリーグにはあまりに多く、たしかに形としてはファウルであることからレフェリーも笛を吹いてしまうということが横行していることに憂慮したJリーグ、なかでも原博実副理事長からの要望に基づくものだった。

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