■本当にサプライズだったブレイク
武器はそのしなやかな肉体である。「レジリエンス」とでもいうのであろうか。対面の相手に対してサイズ的に劣っていることが多いだけに、1対1での勝負では激しい当たりで跳ね返されてしまうことももちろんある。だが、そこでバランスを崩したり、倒れたりしても、すぐに起き直って再びボール奪取のためのチャレンジができるのだ。
1回のチャレンジでボールを奪いきれなくても、「二の矢」、「三の矢」を放って最終的にボールを奪ってしまう。
まるで弾けるような軽快な走りと並んで、そのしなやかで強靭なフィジカル能力が彼の最大の武器だ。
J2リーグの2020年シーズンが始まった(再開された)当初、藤田譲瑠チマのプレーを見ていると、ただただ、18歳になったばかりにも関わらず、ボディ・コンタクトにも負けずに相手ボールを奪ってしまうその姿に目を奪われた。
もちろん、昨年はU-17日本代表としてブラジルで行われたU-17ワールドカップで主力として戦っており、僕もその姿を画面を通して見ていたし、ヴェルディユースの試合でもプレーを見たことがあった。だが、トップチームでいきなりここまで戦えるとは、驚きだった。
今シーズン、J1でブレークしたのは川崎フロンターレの三笘薫だが、三笘の場合は筑波大学時代からそのドリブル・テクニックは何度も見て知っていたし、U-23代表でも活躍していたから、「ちょっと線が細いので、J1でフィジカル勝負を挑まれた時にどこまで通用するか」という不安はあったものの、彼がブレークしたことについては「予想通り」という印象だ。
だが、J2でブレークした藤田の場合は、本当にサプライズだった。