■サプライズだった藤田のブレーク

 そんな中で、ひと際目立っていたのが東京Vでアンカーを務める藤田譲瑠チマだった。

 藤田譲瑠チマは、ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれた選手で2002年2月16日生まれの18歳。東京ヴェルディジュニアユースからヴェルディユースを経て昨年の夏に2種登録されてトップチームデビューも果たしていた。そして、今シーズンはトップ昇格を果たし、J2で戦う東京Vで、11月15日の第34節までで33試合に出場。うち21試合で先発フル出場を果たしている。18歳になったばかりの若者がアンカーというポジションで全面的な信頼を得ているわけである。

 もちろん、戦いのステージは2部リーグなのではあるが、J2というのはそれほど生易しいリーグではない。どのチームも「J1昇格」あるいは「J2残留」という目標に向かって、つまりそれぞれの選手生命を懸けてフィジカル的な戦いをしかけてくる。J1リーグの優勝争いとはまた違った意味で、厳しくまた激しい戦いなのだ。しかも、試合数は42試合もあり、さらに地方遠征も多く、J1以上にタフなリーグと言っていいかもしれない。

 アンカーというポジションでこのタフなリーグを戦い、しかもほとんどの試合でフル出場して90分を戦い抜くというのは容易なことではない。藤田という若者は、18歳になったばかりの年齢で、それだけのタフさを持っているのだ。

 公式の数字では、身長が172センチで体重が70キロというから、けっしてサイズ的に恵まれているわけではない。むしろ、小柄な部類に入る選手である。

 だが、フィジカル勝負ではどんな相手とも互角以上に戦える。

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