2020年11月13日にオーストリア・グラーツで行われた親善試合、日本代表対パナマ代表の一戦。10月に行われたカメルーン戦とコートジボワール戦につづき、日本代表は欧州組だけで臨んだ一戦となった。
結果は、南野拓実が獲得したPKを決めて日本代表が1-0で勝利。この試合に秘められた意図はなんだったのか。そして、11月18日のメキシコ戦の位置づけとは……。サッカージャーナリストの大住良之、後藤健生の2人が試合直後、深夜2時10分から戦わせた「激論」は、日本代表の現在、過去、未来について縦横無尽に広がってゆくーー。
■「そんな優しい人だったんだ、森保監督って(笑)」
大住「2、3点取られていても不思議ではなかったよね。引いちゃって、人にちゃんと行けないというのは、守備がチームとしてちゃんと整理されていない、組織立ってないという感じだった。メンバーが変わる、システムが変わる、で仕方のなかったことだったんだろうけど。
まあ、今回の10月と11月の4試合を考えると、この試合くらいしか若手を出すチャンスはなかったんだろうね。カメルーンとかコートジボワールで経験のない選手を出してしまったら、結構やられちゃうという感じがあったんで。その面では、前半の戦い方も森保監督は、そうなるのも仕方がない、と思っていたと思うんだよね」
後藤「僕もこの2試合を考えた時に、メキシコ戦はベストで勝負にこだわってやってほしいけども、パナマ戦は負けてもいいから色んな選手を使って色んなことを試してほしい、とはずっと思っていた。ベストメンバーを組んで今日の試合に勝っても、しょうがないよなと思ってはいたね」
大住「そうなんだよね。でもその辺が中の人と外の人の違いで、中の人は今日も負けるわけにはいかなかったわけで」
後藤「それはそうだよ。僕も負けるのを別に望んでいたわけじゃない。あのメンバーで完璧に勝っていたら素晴らしいけどね。まだそこまで甘くはないよね」
大住「久保なんかもさ、前回はサイドで使われて、守備に疲れちゃった。それでもったいないなという感じがしたんだけど。今日は彼が力をより発揮しやすいような感じではあったよね」
後藤「そういう感じではあったけど、力は発揮できなかったね」
大住「でも、良い部分もあったよね?」
後藤「そうかな? あんなもんじゃないよな。2人の間を割って相手のイエローカードを引っ張り出した、ああいうのこそ久保のプレーだと思う」
大住「だけどPKになった、あの南野へのパスのタイミングなんかは?」
後藤「あれは素晴らしかった」
大住「もしかしたら、久保に守備の負担をさせないために、3-4-3だか、3-4-2-1だか分からないけど、そういうのを使ったのかなという感じもしたけどね」
後藤「まあ、優しい。そんな優しい人だったんだ、森保監督って(笑)」