日本代表11月遠征「森保一監督の“真意”」(1)「早すぎるチーム完成」の危険性の画像
サッカー日本代表 森保一監督 撮影/サッカー批評編集部
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ワールドカップまであと2年。――昨年までの日本代表はラージグループを形成しつつあった。ところがコロナ禍の2020年、ロードマップは進まなくなった。そして11月の日本代表に召集したメンバーは10月とほぼ同じ。固定化するには早すぎる。森保監督はいま、何を考えているのだろう。

■11月の日本代表に期待すること

 オーストリアのグラーツでパナマ、メキシコと強化試合を行う日本代表のメンバーが発表された。

 10月にオランダで行われたカメルーン戦とコートジボワール戦では吉田麻也冨安健洋の両センターバックを中心に安定した守備を披露し、アフリカの強豪2チームを相手にクリーンシートを達成した日本代表。ただ、攻撃的ポジションの選手のコンディションが悪かったことやコンビネーションが確立されていなかったことが原因で攻撃は空回り。得点はコートジボワール戦のアディショナルタイムにFKからのボールを植田直通が決めた1点だけで、流れの中から得点は生まれなかった。

 日本代表として2020年の初戦となったカメルーン戦では、せっかく奪ったボールを正確につなぐことができず、押し込まれる時間が長くなってしまった。その反省を生かして戦ったコートジボワール戦では、自陣からパスをしっかりつないでボールを敵陣まで運ぶことはできたものの、フィニッシュ段階でのパスやクロスの精度が低くて決定機は作れなかった。

 代表チームというのはトレーニングの時間が十分には取れないのでチームとしての約束事を積み上げて攻撃のオートマティズムを生むのが難しい。とくに、10月の2試合は海外組にとっては11か月ぶりの代表合流だっただけに難しさが大きかったのは事実だ。

 そして、チーム作りの手順としては「まず守備を確立し、そのうえで攻撃を準備する」というのが定石であり、10月の段階で「攻撃がまだチグハグ」だったのはある意味で仕方のないことだった。そんな中で、初戦のカメルーン戦から中4日の準備期間を経て迎えたコートジボワール戦では多少なりとも攻撃面が改善されていたことも事実だ。

 そうした経緯を踏まえれば、1か月後の11月に行われる2試合では守備面では10月のハイレベルなパフォーマンスを維持したうえで、攻撃面でのさらなる改善・修正を見たいところだ。

 ほとんどのメンバーが10月シリーズにも参加していたという事実を考えても、上積みは当然期待できる。また、10月の2試合で「クロスの質」といった明確な課題がいくつか具体的に突き付けられたのだから、選手たちはその後所属クラブに戻ってからもそうした意識を保ち続けていたはずであり、個人レベルでも改善を期待したい。

 ズバリ、最大の見どころは「攻撃の改善」である。

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