今年1月、ACLのプレーオフに敗れた鹿島アントラーズは『らしさ』を失っているように思えた。アントラーズというチームは、そういう試合で負けないチームだったからだ。
一方で、植田直通、昌子源、西大伍、安部裕葵、安西幸輝、鈴木優磨、セルジーニョ……。短期間でこれだけ主力がいなくなっては、さすがのアントラーズもどうしようもないだろう、とも思えた。
実際、今シーズンの前半はどん底だった。降格が無いシーズンで助かったよね、という声もあった。
そんなチームも、この試合で横浜F・マリノスに0-2から逆転勝ちしたことで、今や5位だ。
アントラーズらしさも見られるようになった。後半ロスタイムのボールキープも実に『らしい』ものだった。1点リードのラスト5分、コーナーキックでも、良い位置でのフリーキックでも、徹底してそうする様子は、アントラーズだ、と感じた。
とはいえ、往年のアントラーズに戻ったわけではない。今シーズンの低迷と復活の様子が1試合の中に凝縮されたような不安定な展開だった、というだけではなく、アディショナルタイムに『らしくない』瞬間もあったからだ。