■常本のミスから見える鹿島のコンディション
79分に投入された常本佳吾は、ボールを前へ進めようとするプレーで上々のデビュー戦を過ごしていた。
しかし、最後になってミスが出た。しつこくボールキープをする時間帯に、普通にクロスを上げてしまったのだ。そのボールはマリノスに渡り、ボールキープモードだったチームは、一転して攻撃の対応に追われることになってしまった。
アントラーズらしくないミスだった。そういう細かいところを徹底するのがアントラーズの強さだ。もしそこを間違えたら、その場でチームメイトやベンチから檄が飛んだり、終了のホイッスルと同時にすぐに先輩が捕まえて、サポーターに挨拶に行きながら話し合いが始まったりする。普段の練習以外に、そういうところでもアントラーズらしさが受け継がれてきた。
ところが、そういう場面は見られなかった。ミスそのものよりも、そういう反応が無かったということが、アントラーズ本来の姿には戻っていない、という印象を抱かせた。
おそらく、ロッカールームでは言われているだろう。結果的に、常本は次戦からアントラーズらしくプレーできる。そこは同じだ。それでも、そういう僅かな違いが大きな違いになっていく。そういう僅かな違いを徹底していたからこその『らしさ』で、アントラーズは常勝でいられたのだから。