しかしながらバルトメウが順風満帆な日々を送ることはなかった。

 スポーツディレクターと監督交代を繰り返し、補強に関しては失敗し続けた。極め付けが「バルサゲート」の問題だ。スペインのラジオ局『カデナ・セール』が、不穏な動きをすっぱ抜いた。その実はバルトメウ会長が『I3ベンチャーズ』という企業と契約して、主力選手やクラブのOBをサイバー空間で攻撃していたというものだ。この件をめぐり、バルセロナの幹部6名がバルトメウ会長との意見の相違を理由に辞任することになった。「誰かが金庫に手を入れた」とは、その時にクラブを去ったエミリ・ロウサウドの言葉である。

 誰が金庫に手を入れたのかは、ここでは重要ではない。大事なのは、それをバルトメウがコントロールできなかったこと、あるいは彼自身がコントロールしながらそうなるように仕向けたかどうかだ。6名もの幹部が辞める決断を下したという事実が、すべてを物語っている。

  そして、この夏のメッシの退団騒動だ。

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