時代は変わった。
この夏、アンドレア・ピルロ監督がユヴェントスの指揮官に就任した。ミラン、ユヴェントス、イタリア代表で活躍した選手が指揮を執る。大きな期待と注目の中で、ピルロ・ユヴェントスの航海がスタートした。
■黄金時代を知る者
ビッグプレーヤーに指揮を託しているのはユヴェントスだけではない。近年、バルセロナ(ロナルド・クーマン)、マンチェスター・ユナイテッド(オーレ・グーナー・スールシャール)、レアル・マドリー(ジネディーヌ・ジダン)、アーセナル(ミケル・アルテタ)、チェルシー(フランク・ランパード)といったクラブが、元選手を指揮官として迎えている。
だが当然ながら、それぞれ状況は異なる。
バルセロナとユナイテッドは黄金時代を知る者を選んだ。ただ、クーマン監督とスールシャール監督に関しては、彼らが置かれていたシチュエーションは決して良いものではなかった。クーマン監督にとっては、アルフレッド・スロイデルとヘンリク・ラーションというコーチ陣と共闘体制を組んだことが、スールシャール監督にとってはブルーノ・フェルナンデスの加入と起用が大きなポイントとなった。
黄金時代を象徴するような選手を再び呼び寄せる。しかしながら、そこにはプラスとマイナスの面がある。バルセロナに至っては、今夏、戦力外通告を行う役割を新指揮官であるクーマン監督に任せている。ルイス・スアレス、イバン・ラキティッチ、アルトゥーロ・ビダル、サミュエル・ウンティティに、クーマン監督が電話一本で構想に含めていない旨を伝えた。
バルセロナの例から分かるように、レジェンドの存在は大きい。そのことで、クラブはある意味で焦点をずらせる。メディアの目がそちらに向くからだ。あの戦力外通告がメディアに報じられた後、クーマン監督は「私は映画の悪役ではない」と弁明した。そこには同情の余地がある。