田中に話を戻すと、この背番号30はボールを味方から引き出すと、川崎のプレスに物おじせずに相手を引き付けてから左右にボールを散らし、相手選手をはがす芸当もやってのけた。
仙台のボランチは、しばらくは椎橋慧也と浜崎拓磨で固定されている。しかし、この2人では、長短のパスを左右に振り分ける、あるいは、ボールを持って試合をコントロールする、といったゲームメイクができない。本来はMF松下佳貴がこの役にあるのだが、今季は負傷が続いて、出場試合数はわずか「4」。
松下は“一人抜かしたパス”で攻撃にアクセントを付け、ボールキープによって味方の上がりを促すことができた。その松下がいないことで、現在の仙台のボランチはただのボール経由地になってしまっていた。